特集 心不全パンデミック時代の新しい診療知を求めて
治療 進歩著しい心不全治療の現在
植込型補助人工心臓(VAD)と成人心臓移植の現状と課題─destination therapy(DT)とは?─
後岡 広太郎
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1東北大学病院循環器内科
キーワード:
▶DTとしてのVADは,高齢や併存疾患を持つ非移植適応の重症心不全患者においても予後改善効果を示し,適応患者が増加しているが,主な課題は,中枢神経合併症,感染症,再入院率の高さ,さらには地域格差や在宅支援体制の不十分さである.
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▶心臓移植は高い長期生存率を示す一方で,日本では待機期間の長期化が深刻であり,LVAD補助期間が5年以上に及ぶ症例も多く,ドナー数の増加などが喫緊の課題である.
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▶心臓移植レシピエントの除外条件では他臓器の不可逆性の評価が重要である.特に腎機能が不可逆的な場合は除外となる.
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▶そのため腎機能の経時的変化を確認するため定期的な採血に加えて採尿検査を行い,腎機能低下時は早めに移植実施施設への紹介が望ましい.
Keyword:
▶DTとしてのVADは,高齢や併存疾患を持つ非移植適応の重症心不全患者においても予後改善効果を示し,適応患者が増加しているが,主な課題は,中枢神経合併症,感染症,再入院率の高さ,さらには地域格差や在宅支援体制の不十分さである.
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▶心臓移植は高い長期生存率を示す一方で,日本では待機期間の長期化が深刻であり,LVAD補助期間が5年以上に及ぶ症例も多く,ドナー数の増加などが喫緊の課題である.
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▶心臓移植レシピエントの除外条件では他臓器の不可逆性の評価が重要である.特に腎機能が不可逆的な場合は除外となる.
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▶そのため腎機能の経時的変化を確認するため定期的な採血に加えて採尿検査を行い,腎機能低下時は早めに移植実施施設への紹介が望ましい.
pp.562-567
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.43.04_023
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植込型補助人工心臓(VAD)の現状
1.心臓移植への橋渡し(BTT)としてのVAD
植込型補助人工心臓ventricular assist device(VAD)は2012年に心臓移植への橋渡しbridge to transplantation(BTT)として保険収載された.日本における補助人工心臓に関連した市販後のデータ収集(Japanese registry for Mechanically Assisted Circulatory Support J-MACS Statistical Report)では2024年12月末時点で1,498例がBTTでVADが植え込まれている1).その平均年齢は43.4歳であったが,植込み年齢では50~60歳台が増加し,2011~2015年における割合は23%であったが,2016~2020年には28%,2021~2024年には34%を占めていた.心臓疾患の診断としては拡張型心筋症が64%と多く,冠動脈疾患が13%,肥大型心筋症(拡張相あり)が11%と続いていた.植込み型除細動器(ICD)または心臓再同期療法(CRT)使用率は37%であり,心移植申請前にデバイス使用に関して適切な適応判定が行われていることが示唆された.BTTとしてのVAD植込み後の生存率は360日時点で93%,1,800日で79%と良好であった.

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