Japanese
English
今月の主題 胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界
序説
胃癌粘膜切除の適応拡大とその問題点
Introduction
下田 忠和
1
Tadakazu Simoda
1
1国立がんセンター中央病院臨床検査部病理
キーワード:
粘膜切除
,
分化型腺癌
,
低分化型腺癌
,
一括切除
,
多分割切除
Keyword:
粘膜切除
,
分化型腺癌
,
低分化型腺癌
,
一括切除
,
多分割切除
pp.1135-1136
発行日 2002年8月25日
Published Date 2002/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104519
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- Abstract 文献概要
患者のQOL(quality of life)の面から胃癌の縮小治療が行われるようになってきた.その中でも早期胃癌はリンパ節転移がなければ,内視鏡的粘膜切除(endoscopic mucosal resection;EMR)で
根治が十分に得られると考えられる.その観点から粘膜切除による胃癌治療はどこまで可能なのか,すなわち,現在一般的に行われている粘膜切除治療の適応拡大について論じるのが本号の目的である.しかし技術的なこともあり,むやみに適応拡大ができるわけでもない.今回は胃癌学会から発表された胃癌治療のガイドラインで,標準治療としての粘膜切除可能な絶対的適応条件とされる以外のものを適応拡大と考えて,その可能性を探ることになった.
ガイドラインでの粘膜切除適応条件は国立がんセンター中央病院と癌研究会附属病院で手術された3,000例を超す早期胃癌症例の解析からリンパ節転移のない早期胃癌の条件を満たしたものである.それによると絶対的適応は,①一括切除が可能な20mm以下の粘膜内癌,②分化型腺癌,③癌巣内に消化性潰瘍を有さない,以上の条件を満たした症例である.
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