特集 上部消化管疾患
総説 実地医家が知っておくべき基礎知識と診療指針
食道・食道胃接合部癌診療の実際
山田 拓哉
1
1大阪労災病院消化器内科
キーワード:
食道・食道胃接合部癌診療の実際
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▶食道癌は致死率が高く,日本では年間約2万人が罹患し,約1万人が死亡する.
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▶日本では扁平上皮癌が90%を占めるが,胃食道接合部では腺癌が増加している.
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▶喫煙,飲酒,GERD,Barrett食道,遺伝的要因(ALDH2遺伝子変異)などが食道癌の発症リスクを高める.
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▶食道胃接合部癌は先進国で増加傾向にあり,日本では年間約1万人が罹患している.
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▶食道胃接合部癌はGERD,Barrett食道,肥満,H. pylori感染,喫煙・飲酒がリスク因子となる.
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▶食道癌の診断は内視鏡検査が基本で,ヨード染色やNBI/BLI,拡大内視鏡が有用である.
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▶CT,MRI,PET-CT,EUSなどを用いて転移の評価を行う.
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▶早期癌に対してはEMRやESDが行われる.
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▶進行癌には食道亜全摘術やリンパ節郭清を伴う外科手術が適応となる.近年では胸腔鏡・腹腔鏡・ロボット手術の導入が進んでいる.
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▶局所進行癌には5-FU+シスプラチン併用放射線療法が標準治療である.
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▶根治的CRT後の遺残・再発にはサルベージ手術を考慮する.
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▶手術不能進行・再発癌に対してペムブロリズマブ+シスプラチン+5-FU療法などが標準治療である.
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▶術前化学療法ではDCF療法が推奨される.
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▶50歳以上の男性の飲酒・喫煙者,ALDH2不活性型,頭頸部癌既往者は定期的な内視鏡検査が推奨される.
Keyword:
食道・食道胃接合部癌診療の実際
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▶食道癌は致死率が高く,日本では年間約2万人が罹患し,約1万人が死亡する.
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▶日本では扁平上皮癌が90%を占めるが,胃食道接合部では腺癌が増加している.
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▶喫煙,飲酒,GERD,Barrett食道,遺伝的要因(ALDH2遺伝子変異)などが食道癌の発症リスクを高める.
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▶食道胃接合部癌は先進国で増加傾向にあり,日本では年間約1万人が罹患している.
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▶食道胃接合部癌はGERD,Barrett食道,肥満,H. pylori感染,喫煙・飲酒がリスク因子となる.
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▶食道癌の診断は内視鏡検査が基本で,ヨード染色やNBI/BLI,拡大内視鏡が有用である.
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▶CT,MRI,PET-CT,EUSなどを用いて転移の評価を行う.
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▶早期癌に対してはEMRやESDが行われる.
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▶進行癌には食道亜全摘術やリンパ節郭清を伴う外科手術が適応となる.近年では胸腔鏡・腹腔鏡・ロボット手術の導入が進んでいる.
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▶局所進行癌には5-FU+シスプラチン併用放射線療法が標準治療である.
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▶根治的CRT後の遺残・再発にはサルベージ手術を考慮する.
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▶手術不能進行・再発癌に対してペムブロリズマブ+シスプラチン+5-FU療法などが標準治療である.
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▶術前化学療法ではDCF療法が推奨される.
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▶50歳以上の男性の飲酒・喫煙者,ALDH2不活性型,頭頸部癌既往者は定期的な内視鏡検査が推奨される.
pp.986-993
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.07_006
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食道癌の基礎知識
1.食道癌の疫学
食道癌は世界的には癌死亡の第6位を占め,日本では年間約2万人が罹患し,約1万人が死亡している.男女比は約6:1と男性に多く,発症のピークは60~70代である.組織型としては,わが国では約90%が扁平上皮癌であり,残りの約10%が腺癌である.これは欧米諸国で腺癌が50~80%を占めることと対照的である.

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