特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識
Ⅰ.食道
食道胃接合部癌
山下 裕玄
1
,
瀬戸 泰之
1
Hiroharu YAMASHITA
1
1東京大学医学部附属病院胃食道外科
pp.24-27
発行日 2013年10月22日
Published Date 2013/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104782
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はじめに
わが国における食道胃接合部癌とは,西分類の「食道胃接合部(EGJ)の上下2 cm以内に癌腫の中心があるもの」であり,食道癌取扱い規約第10版補訂版1),胃癌取扱い規約第14版2)のいずれにも明記されている.腫瘍の浸潤範囲によりE,EG,E=G,GE,Gと記載され,つまり食道にのみ腫瘍が存在するE,胃にのみ腫瘍が存在するG,2領域にまたがるEG,E=G,GEで構成される.組織型も扁平上皮癌,腺癌の2つが大部分を占めるが,この時点で「食道胃接合部癌」というものはheterogenousな集団であることがわかる.食道と胃のちょうど境界領域に存在するために,食道癌として扱うべきか,あるいは胃癌として扱うのが適切なのかが明らかとなっておらず,各症例ごとに医師が判断して術式・リンパ節郭清範囲を決めているのが現状であると推測される.つまり,同一疾患でありながら,食道外科と胃外科で異なる術式が選択される可能性があるということになる.
食道胃接合部癌の診断基準および至適術式を検討することを目的とし,食道胃接合部癌ワーキンググループ(日本胃癌学会,日本食道学会合同,委員長:瀬戸泰之)が立ち上げられ,昨年には食道胃接合部癌に対する至適リンパ節郭清範囲を検討することを目的とした全国調査を行い,3,000例を超える症例が集積された.解析結果は近日報告される予定である.
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