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BRCA1/2はDNA二本鎖切断(double strand break:DSB)の修復機構の1つである相同組み換え修復(homologus recombination:HR)に関与する遺伝子である。生殖細胞系列のBRCA変異(germline BRCA mutations:gBRCAm)を有すると,相同組み換え修復異常(HR deficiency:HRD)のため遺伝子変異によるがんの罹患リスクが上昇し,遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)として知られている。gBRCAmは膵がんの罹患リスクも3.5〜10倍に上昇させると報告されており,また膵がん患者の4〜7%でgBRCAmが指摘されている。胆道がん患者においても3〜5%程度でBRCA変異を有すると報告されている1)2)。腫瘍組織由来の解析でBRCA変異陽性と判明した場合は,その変異が生殖細胞系列または体細胞系列に生じたものであるのか,厳密には鑑別がつかないため,必要に応じて生殖細胞系列の検査を検討する。gBRCAmと判明した場合は,患者本人に乳がん・卵巣がんといった重複がんのリスクがあることに加えて,血縁者にもgBRCAmを有する者がいた場合は,同様にがん罹患リスクを考慮に入れたスクリーニング・発症予防・早期発見といった対応が必要になる。そのため遺伝カウンセリングなどを通して正確なリスク評価や血縁者診断の適応相談などが必要となる。詳細は他稿に譲るが,膵がんについてはまだ確立したスクリーニング方法はなく,国内外ともにエキスパートによるコンセンサスとして超音波内視鏡(EUS)やMRI/MR胆管膵管撮影(MRCP)を用いた定期的なスクリーニングが提案されている。
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