特集 各施設の感染症対策
1.大学病院・一般病院の感染症と対策
森兼 啓太
1
1山形大学医学部附属病院検査部部長・病院教授/感染制御部部長
pp.4-9
発行日 2024年8月30日
Published Date 2024/8/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.08.01_0004-0009
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感染症という疾患は,ヒトからヒトへ伝播するという特性から,社会のあらゆる場面や場所においてその特性においてさまざまな対策を講じる対象として位置づけられている.本稿では,大学病院や一般病院などの医療機関での対策について述べる.医療機関は,社会全体からみれば以下のような特徴を有している.・外来および入院患者には,高齢・免疫不全・他疾患で加療中などといった感染症に対して脆弱な特性をもつ人(感受性宿主)が多い・医療という事業の特性から,多くの従業員を必要とする業種であり,しかも従業員と顧客(患者)が長時間かつ密接にかかわり合うことが前提条件となっている・従業員の多くは医師・看護師などの医療専門職であり,感染症に関する基礎教育と生涯継続教育を受けており,一般人と比較して質と量の面で高度な知識をもっている・感染症対策の管理部門が存在し,病院全体の方針を定めて,従業員に周知徹底し,遵守をさせることができるこれらの特性をふまえて,医療機関での感染症対策は組織的かつある程度の強制力をもったかたちで展開されるのが一般的である.
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