新病院建築・1
病院各部の面積配分—その1.一般病院
伊藤 誠
1
1千葉大学・建築学科
pp.73-80
発行日 1978年1月1日
Published Date 1978/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206434
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はじめに
10年以上も前のことになるが,厚生科学研究補助金による研究の一部として,当時の代表的な病院がどのくらいの面積をとって建てられているか,またそれを院内各部門にどう配分しているかなどについて分析考察したことがある.そして結果を守屋博・吉武泰水の両先生と連名で本誌の24巻1号1)に発表した.当然のことながら,記述は無味乾燥な数値数表の羅列で,読物としては決して魅力的といえるものではなかったが,各方面で意外に活用されたようであった.
病院の計画に当っては,第一に全体の概略規模をおさえ,次いで各部の面積配分を大まかに決めることから出発しなければならない.ブロックプランの大筋を描くにも,最少限,部門別の面積だけは欠かせない.もっとも,このような進め方は何も病院建築に限ったことではない.そして,この段階で全体規模についての把握が当を得ていなかったり,あるいは各部の面積配分が均衡を失したものになっていれば,以後の努力もまったく無意味になる.したがって,さらには,設計の途中過程においてもしばしば計画案について各部の面積比率をチェックしてみる必要がある.その際の指標もしくは比較の対象として,既存病院についての分析結果が常に有力な手がかりとなるのである.
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