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はじめに
リハビリテーション医学教育の機会は,医学教育改革によって,卒前ではモデル・コア・カリキュラム策定により,卒後では臨床研修必修化により増加した.本稿では,臨床研修必修化でのリハビリテーション科専門医養成について,一般病院の立場から述べる.
リハビリテーション科専門医を目指すには,リハビリテーション医学に対する明確な思想をもち,リハビリテーション医療が実践され,その効果を示している病院で初期臨床研修をすることが望ましい.また,初期臨床研修での分断された専門科研修の集積が,そのままリハビリテーション医学の研修にはならないことも意識しておく必要がある.
専門科研修での幅広い実践を経験し,必要な知識・技術を身につけながら,独学や講義では得られないリハビリテーション医療の実践の場で,背景にある「リハビリテーション医学の原理・原則」を実感して経験し,リハビリテーション科医のもとでそれを深めていく作業が必須である.つまり,リハビリテーション科専門医を目指すには,初期臨床研修においてもリハビリテーション医療を実践している場で経験の豊かなリハビリテーション科医の助言を得て臨床経験を積む必要がある.さらに,将来の目標が決まっていれば,それに合わせて研修カリキュラムを組み立てることもできるゆえ,初期臨床研修は,その後に続く専門医取得を目指す研修(後期研修)とセットで考えるほうがよい.
病院によっては,リハビリテーション科として病床(多くは回復期リハビリテーション病棟)をもち,外来と入院機能を併せもつ場合と,倉敷中央病院(以下,当院)のように入院機能をもたずに外来機能のみの場合(紹介科としての中央診療部門)がある.専門医取得を目指すには,主治医として研修が可能なリハビリテーション科病床をもつ病院での研修が望ましい.当院のような急性期総合病院おいては,急性期リハビリテーションとして運動の適応・禁忌,投与方法・投与量,期間(リハビリテーション処方)の基本をしっかりと研修し,とくに運動のエネルギー系に関わる呼吸・循環系へのリスクを考えたリハビリテーション処方ができる研修をすることが重要である.また,リハビリテーション科のゴールや治療について他科医に理解を求め,運動の投与(早期離床)による原疾患の直接的な治療効果の向上と廃用予防による二次的な治療効果の向上を助言・指導できるようになることの研修も重要である.
つまり,疾患の病期と病院内での機能により,各病院により研修内容の役割分担がある.
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