特集 ポストコロナ時代における食品衛生対策・感染症対策
3.ポストコロナの小児感染症~麻疹・風疹を中心に
森 嘉生
1
,
大槻 紀之
1
,
梁 明秀
1
1国立感染症研究所ウイルス第三部
pp.67-71
発行日 2023年12月22日
Published Date 2023/12/22
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.07.01_0067-0071
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2012年の世界保健総会において採択されたGlobal Vaccine Action Plan 2011-2020(GVAP)において「2020年までに世界6地域のうち5地域において麻疹および風疹の排除を達成する」という目標がかかげられ,麻疹および風疹の対策が国際的に推進されることとなった1).麻疹(風疹)の排除とは「優れた感染症サーベイランスシステムを備えた地域/国において,地域流行の麻疹ウイルス(風疹ウイルス)による12カ月以上継続した伝播が認められないこと,さらに風疹については,それによる先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)の事例が認められないこと」と定義される2).2020年までにGVAPの目標は完全には達成されなかったものの,この10年間で飛躍的にワクチン接種率が向上し,麻疹,風疹ともに患者数の大幅な減少に至った3,4).2020年時点で,麻疹は世界保健機関(WHO)加盟194カ国中81カ国(42%),風疹は93カ国(48%)において排除達成がWHOから認定されている3,4).わが国では2015年にWHO西太平洋地域事務局・麻疹風疹排除認証委員会より麻疹の排除達成が認定され,それ以降排除状態を維持している.一方で風疹については2012~2014年や2018~2020年に12カ月以上継続する国内土着株による流行が発生しており,2022年時点で風疹排除認定を受けることはできていない.
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