特集 ノロウイルス研究の最前線
2.ヒトノロウイルス感染症の疫学・分子疫学に関する最新の知見
木村 博一
1
1群馬パース大学大学院保健科学研究科医療科学領域教授
pp.12-18
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.01.01_0012-0018
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ヒトノロウイルス(Human norovirus:HuNoV)は,カリシウイルス科(Caliciviridae),ノロウイルス属(Norovirus)に属するウイルスであり,急性胃腸炎の主要な原因であることが明らかになっている.しばしば,HuNoVによる急性胃腸炎は,インフルエンザと同様にパンデミック(世界的大流行)を引き起こす.また,このウイルスは,過去10年間,わが国における大規模食中毒事例の主たる原因となっている.このように,HuNoVによる胃腸炎の多発は,医学的・社会的な大きな問題として顕在化しており,ワクチン開発も含め,ウイルスの感染制御,流行予測および予防対策を講ずることが急務となっている.ここ数年,HuNoVに関する研究は,培養法の開発も含め,画期的な研究成果が報告されている1).また,HuNoV流行予測の基盤となる分子疫学やウイルスゲノムの進化学的研究も進みつつある.このようなことを踏まえ,本稿においては,HuNoV感染症に関する疫学・分子疫学研究から得られた新しい知見を中心に概説する.
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