癌微小環境研究up-date
第6回 転移・再発乳癌における免疫関連マーカーの意義
三好 康雄
1
1兵庫医科大学乳腺・内分泌外科教授
pp.34-36
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.06.01_0034-0036
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
早期乳癌の予後には,癌に対する免疫応答が関与している。例えば化学療法を施行したTN(estrogen receptor:ER陰性・human epidermal growth factor receptor2:HER2陰性)乳癌やHER2陽性乳癌では,局所における腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocytes:TILs)が治療効果と相関することが示されている1)。また,末梢血の好中球・リンパ球比(neutrophil-to-lymphocyte ratio:NLR)は,有意に予後と相関する2)。一方,転移・再発乳癌における薬物療法や予後に免疫応答がどの程度関与しているのか,この点に関する報告は少ない。TILsやNLRを含めた免疫関連マーカーは,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)の効果と相関する。さらに近年の研究結果から,免疫関連マーカーは化学療法や抗HER2療法の効果とも関連する可能性が示唆されている。本稿では転移・再発乳癌における免疫関連マーカーのうち,TILsとNLRを中心に効果予測因子としての有用性を検証する。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.