今月の主題 歯科からみえる全身疾患
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唾液と腫瘍マーカー―唾液混入が再発乳癌マーカーCSLEX値に与える影響
蓑手 哲
1
,
清川 巌
2
,
藤田 利之
1
,
高山 千香夫
1
,
片山 勝博
3,4
Satoshi MINOTE
1
,
Iwao KIYOKAWA
2
,
Toshiyuki FUJITA
1
,
Chikao TAKAYAMA
1
,
Katsuhiro KATAYAMA
3,4
1ニットーボーメディカル(株)マーケティング部
2日東紡メディカル開発センターバイオケミカル研究所
3日東紡メディカル事業部門
4ニットーボーメディカル(株)
キーワード:
乳癌マーカー
,
唾液
,
コンタミネーション
Keyword:
乳癌マーカー
,
唾液
,
コンタミネーション
pp.436-440
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101576
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1.はじめに
腫瘍マーカーは,血清診断において癌の早期診断の有用性には否定的であるものの,進行癌の診断と治療経過観察では癌の形態診断学を補う有力な補助診断法として臨床の場で活用されている.CEAやCA19-9,CA15-3のように多くの腫瘍マーカーは,糖鎖あるいは糖蛋白質を認識するモノクローナル抗体によって検出される.このように臨床的に重要な腫瘍マーカーではあるが,種類によっては,生理的変動要因として性差や妊娠・性周期やその他(血液型・喫煙等)があることが知られている1).例えば膵癌・胆道癌などの各種消化器癌で上昇するCA19-9では,加齢や性周期,妊娠などによる影響は受けない2).しかし,CA19-9は血液型物質Lewis a(Lea)にシアル酸が1個ついたシアリルLeaであるために,日本人に4~10%存在するLea陰性者においてLewis酵素活性の欠如からLea糖鎖が構築されず,胆癌患者においても陰性となることが報告されている3).さらにLe,Se遺伝子の影響を受け,遺伝子型によって正常値が異なることも知られている.
腫瘍マーカーを物質により分類すると蛋白質,ペプチド,ステロイド,糖鎖などに分けられる.なかでも糖鎖抗原は汎用されているため,正常皮膚や汗に存在する糖鎖抗原の混入が偽陽性の影響を受けやすい.生体内に自然存在する糖鎖抗原として唾液が挙げられるが,唾液の混入により測定値に大きな影響を受ける腫瘍マーカーのあることが報告されている4).
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