誌上ディベート
n0 high-risk HER2陽性乳癌の術後治療でトラスツズマブの投与は1年必要か 「必要である」とする立場から
原 文堅
1
1がん研究会有明病院乳腺センター乳腺内科 医長
pp.34-39
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.05.02_0034-0039
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HER2陽性乳癌の術後療法として,化学療法とトラスツズマブ併用療法が複数の大規模臨床試験により有意に予後を改善し,標準治療となった。その結果,現在ではHER2陽性乳癌は予後良好なサブタイプとなったといっても過言ではない。HER2陽性乳癌の術後にトラスツズマブが標準治療として導入されてから10年以上が経過し,早期HER2陽性乳癌の問題点を改めて考えてみると,予後が改善され,非常に良好になったゆえ,overtreatmentの問題が挙げられるようになった。予後良好な群に対して心毒性のリスクのあるアンスラサイクリンは必要か,治療期間の短縮は?抗体薬のみで治療は可能か?というde-escalation治療の検討がなされている。また,逆に予後不良群においてもトラスツズマブへの新規抗HER2薬の併用(dual HER2 blockade, extend HER2 blockade),術前薬物療法で奏効しなかった症例に対する術後追加治療(response guided therapy)などのescalation治療も検討されている。本稿では,予後が比較的良好と考えられる「n0high-risk HER2陽性乳癌」にフォーカスをあて,「術後治療でトラスツズマブの投与は1年必要」という立場で論じる。●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。・論点整理/南博信・「必要である」とする立場から/原文堅・「不要である」とする立場から/相原智彦
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