誌上ディベート
40歳以上の閉経前ホルモン受容体陽性乳癌患者の術後ホルモン治療にLHRH-Aは併用すべきか 論点整理
南 博信
1
1神戸大学大学院医学研究科内科学講座腫瘍・血液内科学教授
pp.39-39
発行日 2019年3月30日
Published Date 2019/3/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.05.01_0039-0039
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ホルモン受容体陽性乳癌の術後補助療法では内分泌療法が必要である。閉経前ではタモキシフェン(TAM)が基本であるが,閉経後ではTAMよりもアロマターゼ阻害薬(AI)の治療成績がよく,もっぱらAIが用いられる。閉経前でもLHRH-Aで閉経後の環境を作ればTAMよりもAIのほうが治療成績が向上すると推論し期待するのは,理論的だし理解できる。LHRH-Aなど卵巣機能抑制療法(OFS)併用下でエキセメスタン(EXE)とTAMを比較したSOFT試験とTEXT試験の統合解析で,EXEのほうが治療成績がよかった1)。しかし問題は,それまでは閉経前乳癌に対する術後内分泌療法の基本はTAM単独であり,OFSのTAMへの併用効果が示されていないことである。TAM単独が基本であるのに,OFS併用下でTAMより優れていたからといってOFSとEXEの併用を標準とは簡単にみなせないのである。●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。・論点整理/南博信・「すべきである」とする立場から/阿左見祐介/佐治重衡・「不要である」とする立場から/楠原正太/原野謙一
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