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ホルモン陽性乳癌患者に対し,術後補助内分泌療法を行うことが標準治療である。術後5年間のタモキシフェン(TAM)投与に関して,TAM5年内服とTAM内服なしを比較した20試験(n=10,645)を対象としたEBCTCGによるメタアナリシスでは,年齢,閉経状況,リンパ節転移や化学療法併用の有無にかかわらず,ホルモン受容体陽性乳癌においてTAM内服が再発リスク(HR 0.61,95% CI:0.50-0.75)および死亡リスク(HR 0.78,95% CI:074-0.8)を減少させることが示された1)。TAMの内服に加えてLHRHアゴニスト(LHRH-A)を投与することの意義とは,閉経前ホルモン受容体陽性乳癌において卵巣由来の内因性エストロゲンレベルを低下させることにある。NSABP B-30では,術後化学療法によって閉経となった患者が,そうでない患者と比較して生存率,無病生存率ともに有意に予後を改善し,化学療法による卵巣機能抑制が予後を改善することが示唆された2)。ホルモン陽性乳癌はホルモン陰性乳癌と比較して長期再発が多く3),再発予防は重要な課題である。術後ホルモン治療にLHRH-Aを併用するかを検証する臨床試験が数多く検証されてきているが,どのような患者においてLHRH-Aを併用すべきかに関しては議論がある。LHRH-Aを上乗せすることを検討する対象として,年齢は検討すべき重要項目であり,本編において,われわれは40歳以上の閉経前ホルモン陽性乳癌に対する術後ホルモン治療にLHRH-Aの併用は不要であるとの立場で議論する。●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。・論点整理/南博信・「すべきである」とする立場から/阿左見祐介/佐治重衡・「不要である」とする立場から/楠原正太/原野謙一
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