臨床医のための乳腺基礎医学
乳癌腫瘍免疫の新展開:PD-1治療との関連性
鳥越 俊彦
1
1札幌医科大学医学部病理学第一講座教授
pp.23-27
発行日 2016年8月10日
Published Date 2016/8/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.02.02_0023-0027
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「緒言」抗CTLA-4抗体,抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint blockade:ICB)が,メラノーマや非小細胞肺癌に対して高い抗腫瘍効果を示すことが証明され1),癌免疫療法は第4の標準治療となりつつある。抗PD-1抗体の効果が証明されている癌種は広く,国内でも今後,腎細胞癌,頭頸部癌,ホジキンリンパ腫などに適応が拡大されるだろうと予想されている。乳癌に対しても国内外で臨床試験が行われており,その有効性が報告されている2)。解決すべき重要な課題は,どのような癌に効果が期待でき,どのような癌には期待できないのか,それを予測することのできるバイオマーカー(predictive marker)の開発である。現在世界中で,ICBの抗腫瘍効果と相関するマーカーの探索が行われているが,近年癌組織に浸潤しているリンパ球(tumor-infiltrating lymphocytes:TILs)の多寡が注目されている。乳癌におけるTILsの意義とPD-1治療との関連性について最近の知見を概説する。
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