特集 Special Article:
アルコール依存症と重複性障害 3.アルコール依存症と摂食障害
岩原 千絵
1
1独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
pp.31-35
発行日 2016年2月10日
Published Date 2016/2/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.04.01_0031-0035
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「Summary」女性アルコール依存症患者は、男性と比べ重複障害が多い。特に若年女性では、神経性やせ症(AN)、神経性過食症(BN)、過食性障害(BED)などの摂食障害がしばしば見られ、入院中の20歳代の女性患者の7割に重複していたという報告がある。重複が多い理由として、アルコールの薬理作用や、摂食障害のアディクション性があげられる。重複例はアルコール依存症または摂食障害のみの場合と比べ、死亡率が高く自殺も多い。一方のみを治療することによりもう一方の病状が顕在化することがあるため、アルコール依存症の治療と摂食障害の治療は同時に行われるべきであるが、現実的にはそれを行うことのできる医療機関は限られている。その場合、アルコール依存症の治療から取り掛かるのが一般的である。また、摂食障害は患者が自ら進んで病状を申告しないため気付かれにくく、医療者の注意深い観察により潜在患者をあぶり出し、治療につなげることも必要となる。「Key Words」アルコール依存症,摂食障害,神経性やせ症,神経性過食症,過食性障害
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