特集 CURRENT TOPICS 5th GAST SUMMIT JAPAN学術講演会ハイライト
ワークショップ:胃炎対策基本法制定は必要か? 4 肝炎対策基本法によってわが国の肝炎対策はなぜここまで進んだか─国民が受けた恩恵と専門医における留意点─
江口 有一郎
1
1医療法人ロコメディカル 副理事長
pp.40-42
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.17.01_0040-0042
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佐賀県は,長年にわたって肝がん死亡率が全国ワーストに位置するという問題を抱えていた。そこで県は2011年1月に,当時の地域医療再生基金をもとに,佐賀大学に総合的な肝がん対策をミッションとした,肝疾患対策センターを設立した。センターでは,HBs抗原,HCV抗体といった肝炎ウイルス検査から治療に至る諸過程をチャートとして示し(図1),その中でボトルネックを解消することに取り組んだ。ウイルス検査の受検,陽性指摘後の精密検査の受診,適切な抗ウイルス治療の「受療」の流れを上げることは肝硬変・肝がんを減らす上で不可欠であり,この点において県,医師会,市町村といった関連するパートナーと共通理解を得ることを目指して作成された。胃がん対策においても,地域でH.pylori除菌を徹底し,胃がんを減少させるためにも,受検・受診・受療,そしてフォローアップをエコシステムとして捉える考え方は有効と考えられる。
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