検査じょうほう室 〈微生物〉
わが国におけるE型肝炎
矢野 公士
1
1国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター 国際医療協力室
pp.879-881
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101830
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はじめに
E型肝炎は従来,先進国には常在せず,もっぱら発展途上国からの輸入感染症と捉えられてきたが,1997年に米国で海外渡航歴のない患者が報告された.2001年,わが国でも海外渡航歴のない症例からわが国固有と考えられる株(JRA-1株)が報告された1).その後,この日本株は次々と発見され(図1),これまで原因不明とされてきた急性肝炎の一部はE型肝炎ウイルス(hepatitis E virus,HEV)によって引き起こされていることがわかり,近年にわかに注目されている.また,HEVは肝炎ウイルスとしては唯一,人獣共通感染症であり,一部の獣類がHEVを保有していることが明らかになっており,これは対策を講じるうえで極めて重要である.
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