INTERVIEW 対談
上部内視鏡検査の進歩
春間 賢
1
,
浅香 正博
2
1川崎医科大学・川崎医療福祉大学 特任教授
2北海道医療大学学長
pp.5-11
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.17.01_0005-0011
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
浅香 本日は,本誌の連載企画「症例から学ぶ上部消化管疾患」に症例を提供して下さっている春間先生をお招きし,「上部内視鏡検査の進歩」をテーマにお話を伺います。私が大学医学部を卒業したのは1972年,ちょうどファイバースコープ付胃カメラ,GTF-Aが登場した頃です。春間先生の卒業は私の3 年後ということでほぼ同世代なのです。その当時はどのような状況でしたか。春間 私が初めて胃カメラを握ったのは1977年ですが,そのときの主流は確かGTF type S3だと思います。浅香 今の若い先生方にはわからないかもしれませんが,内視鏡の変遷の歴史は実に面白いのです。オリンパスと東京大学の医師による胃カメラ開発のエピソードについては吉村昭の小説『光る壁画』にとても興味深く書かれています。当時,内視鏡に関わる人間はこぞって読んだものです。バリウム検査はあくまで病変を影としての描出をみているに過ぎず,直接胃の中を観察しようと胃カメラの開発になったわけですが,最初に開発されたのは硬性鏡であったため剣飲みの大道芸人で試みられたそうです。その後,軟性鏡の先端に撮影レンズを付けた胃カメラがわが国で開発されました。先端にカメラを装着するのは素晴らしいアイデアでしたが,胃カメラは胃内を観察することができず,手探りで撮影していました。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.