DEBATE ON GI THERAPY ディベート
ピロリ菌に対する第一次治療はこのままでよいか? 「従来通りPPI・P-CAB/ACで行うべき」とする立場から/「PPI・P-CAB/AMで行うべき」とする立場から
沖本 忠義
1
,
間部 克裕
2
1大分大学医学部附属病院消化器内科 講師
2淳風会健康管理センター倉敷 センター長
pp.37-45
発行日 2020年6月30日
Published Date 2020/6/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.16.01_0037-0045
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わが国の保険診療におけるH. pylori除菌治療は,一次除菌がプロトンポンプ阻害薬(PPI)・カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)/アモキシシリン(AMPC)+クラリスロマイシン(CAM),一次除菌が不成功であった場合の二次除菌としてPPI・P-CAB/AMPC+メトロニダゾール(MNZ)の三剤併用療法となっている。保険適用時は一次除菌率が約90%であったが,近年CAM耐性菌の増加により一次除菌率が低下し70%台の報告がみられるようになった。二次除菌治療に用いられるMNZに対する耐性率は低く,PPI・P-CAB/AMを一次除菌に用いる検討がされている。これらの検討では,PPI・P-CAB/AMによる一次除菌率は90%以上と良好であるが,保険制度上の問題点がある。一方,近年P-CABを用いることによりP-CAB/ACによる一次除菌率の改善の報告が多数認められており,除菌不成功時に二次除菌治療が保険適用であることを考慮すると,現時点ではP-CAB/ACによる一次除菌治療が推奨される。●本企画は問題点をクローズアップすることを目的としており,テーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
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