特集 こんなにある薬剤性消化管傷害
薬剤性粘膜傷害はPPI/P-CABにより予防可能になったか
山崎 尊久
1
,
三輪 洋人
1兵庫医科大学 内科学消化管科
キーワード:
Aspirin
,
胃潰瘍
,
消化管疾患
,
危険因子
,
大腸疾患
,
十二指腸潰瘍
,
腸粘膜
,
非ステロイド系抗炎症剤
,
発生率
,
化学予防
,
Proton Pump Inhibitors
,
小腸疾患
,
Cyclooxygenase 2 Inhibitors
,
Vonoprazan
Keyword:
Chemoprevention
,
Aspirin
,
Duodenal Ulcer
,
Gastrointestinal Diseases
,
Anti-Inflammatory Agents, Non-Steroidal
,
Incidence
,
Intestinal Mucosa
,
Risk Factors
,
Stomach Ulcer
,
Proton Pump Inhibitors
,
Cyclooxygenase 2 Inhibitors
,
1-(5-(2-fluorophenyl)-1-(pyridin-3-ylsulfonyl)-1H-pyrrol-3-yl)-N-methylmethanamine
pp.859-868
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019312026
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
薬剤性消化管傷害の最も一般的な誘因として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や低用量アスピリン(LDA)があげられる。NSAIDsの粘膜傷害の発症機序としては、直接的な傷害、シクロオキシゲナーゼ2阻害による消化管粘膜におけるプロスタグランジン産生低下からの粘膜防御機構の低下、血管透過性の低下などが考えられている。またLDAにはこの機序による粘膜傷害だけでなく、止血機能の低下により粘膜出血を助長する作用がある。特に近年、超高齢化社会を迎えてこれらの薬剤を服用する患者数が増加しており、それらの副作用・合併症としての消化管粘膜傷害、出血が問題となっている。上部消化管の粘膜傷害の治療および予防には酸分泌抑制薬(PPI/P-CAB)が有効と考えられているが、一方で小腸や下部消化管の粘膜傷害に対してはPPI/P-CABは効果がないばかりか、増悪させる可能性もいわれている。今後はこれらの知見をふまえた薬剤性粘膜傷害に対する治療戦略の確立が重要である。
Copyright© 2019 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.