DEBATE ON GI THERAPY ディベート
大腸がんのスクリーニングはどのようにすべきか? 免疫法便潜血検査を推奨する立場から/大腸内視鏡検査を導入すべきという立場から
斎藤 博
1
,
堀田 欣一
2
1青森県立中央病院 医療顧問
2静岡県立静岡がんセンター内視鏡科医長
pp.53-63
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.15.01_0053-0063
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大腸がん検診は便潜血検査,内視鏡検査のいずれにも科学的根拠が示されている。しかし,がん検診をがん対策として導入するためには他にも要件がある。それらを踏まえて両検査について位置づけを整理する。化学法便潜血検査は,主たる4件のRCTにより一致して大腸がん死亡率減少効果,一部で罹患抑制効果が示され,その長期効果も報告されている。日本で開発された免疫法便潜血検査はRCTはないが,観察研究により一致して死亡率減少効果が示され,さらにadvanced adenomaとがんの発見率を指標としたRCTで化学法より精度が高いと示されている。プログラム全体による不利益が小さく,精度管理体制も確立している。検診導入の要件を満たし,推奨される検診法である。日本では1992年にこのプログラムが導入され,住民を対象とした対策型検診が提供される体制ができており,精度管理水準も上がりつつある。一方,大腸内視鏡検査はsigmoidoscopyに関する4件のRCTなどで同じく,有効性が示されcolonoscopyについても有効性は外挿でき,長期間の効果や罹患抑制効果の点でも有望である。今後,populationレベルでの不利益のデータや発見腺腫の管理などを含めた精度管理のプログラムが提示され,検診導入の要件が揃えば近い将来,導入できる可能性がある。●本企画は問題点をクローズアップすることを目的としており,テーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
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