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浅香:今回は特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長である上昌広先生にお越しいただき,「わが国の医療に関する問題点」について伺いたいと思います。上先生は日本の医学界においてはユニークな立場で活動されています。まずは上先生の経歴についてお聞かせください。上:私は1993年に東京大学を卒業して同大学の第三内科に入局し,初期研修を終えたあと,都立駒込病院で骨髄移植の臨床に携わりました。その後,東京大学大学院で真菌感染症の診断,がん抑制遺伝子の研究を行いました。大学院を修了した後,虎の門病院に勤務し,2001~2005年には当時の国立がんセンター(現国立がん研究センター)中央病院の薬物療法部で臍帯血移植や骨髄非破壊的前処置による造血幹細胞移植(ミニ移植)に従事しました。2005年には東京大学の医科学研究所に研究室を開設し,2016年3月まで研究室を主宰しました。当初は悪性腫瘍の研究を行っていましたが,徐々にその枠に留まらず社会に対して自分のできる形で貢献したいという思いが強くなり,社会活動やメディアを通じた情報発信に携わることが増えました。具体的には福島県立大野病院事件の支援や医師不足問題に関する情報発信,東日本大震災の支援などの問題に携わりました。現在はNPO法人を立ち上げ,並行して個人でも事業を行っています。浅香:上先生は医療問題について造詣が深い方でいらっしゃいます。最初に医学部教育についてお話を伺いたいと思います。現在の医学部教育における問題として,卒前教育・卒後研修の齟齬が挙げられます。卒前教育は文部科学省の管轄,卒後研修は厚生労働省の管轄であり,この整合性のなさが問題の根底にあるかと思います。上先生は現在の医学部教育についてどのようにお考えですか。
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