特集 CURRENT TOPICS 1 H. pylori除菌後の諸問題
3 バレット食道の頻度は上昇するのか
西澤 俊宏
1
1慶應義塾大学医学部内科学(消化器)助教/慶應義塾大学病院腫瘍センター低侵襲治療開発部門助教
pp.26-28
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.11.02_0026-0028
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Helicobacter pylori(H. pylori)が胃食道逆流を抑制する因子としては,胃粘膜萎縮による酸分泌能の低下,ガストリン分泌亢進による下部食道括約筋圧上昇,内臓脂肪の減少からの腹圧低下などが想定されている。Barrett食道とH. pylori感染の関連についてのメタ解析によるとBarrett食道患者でH. pylori感染率の有意な低下を認めた。しかしながら,H. pylori除菌後にBarrett食道が増加するという報告はない。「はじめに」Barrett粘膜は,慢性的な胃食道逆流症の結果として,胃酸に弱い食道の重層扁平上皮が徐々に胃酸に強い円柱上皮へ置換された状態である。Barrett粘膜が全周性で最短長が3cm以上のものがBarrett食道と定義されており,long segment Barrett's esophagus(LSBE)と同義語である。それ以外のBarrett粘膜はshort segment Barrett's esophagus(SSBE)とされている。
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