特集 CURRENT TOPICS 1 H. pylori除菌後の諸問題
5 アレルギー疾患の頻度は上昇するのか
塩谷 昭子
1
1川崎医科大学消化管内科教授
pp.33-36
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.11.02_0033-0036
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幼児期のH. pyloriをはじめとする種々の感染症が減少することにより,免疫機構が変化し,アレルギー疾患が増加する可能性が指摘されている。しかしH. pylori感染と成人発症のアレルギー疾患との関連性は否定的な論文が多く,除菌の効果についても十分なエビデンスがない。現行の除菌により,次世代へのH. pylori感染率の低下に拍車をかけアレルギー疾患の増加に関与する可能性は否定できないが,除菌によりアレルギー疾患が発症し増加するとは考えにくい。「はじめに」衛生環境の改善により,幼少期のH. pyloriをはじめとする種々の感染症が減少することにより,免疫機構が変化し,アレルギー疾患が増加する可能性が指摘されている。細胞性免疫にはTヘルパー(Th)1細胞が,IgEの関与する気管支喘息などの液性免疫にはTh2細胞が優位に関与する。
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