特集 CURRENT TOPICS 1 H. pylori除菌後の諸問題
2 H. pylori除菌がGERD発症にどのように影響するのか
加藤 元嗣
1
1国立病院機構函館病院院長
pp.22-25
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.11.02_0022-0025
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H. pylori感染は胃酸分泌との関わりからGERDの影響因子である。実際,H. pylori感染率とGERD有病率については相反する関係にあり,H. pylori感染がGERD発症に防御的に作用している可能性がある。一方,H. pylori除菌がGERDの発症を増加させるかについては,いくつかのメタ解析の結果から否定的である。むしろ,GERD症状はH. pylori除菌によって軽減する傾向がある。したがって,GERDの存在がH. pylori除菌の妨げとはならない。「はじめに」胃内容物の逆流によって不快な症状あるいは合併症を起こした状態を胃食道逆流症(Gastroesophageal Reflux Disease:GERD)と称し,内視鏡所見を認める逆流性食道炎と内視鏡所見を認めない非びらん性逆流症(non-erosive reflux disease:NERD)に分けられる1)。GERDの発症には胃酸分泌,食道下部括約筋(lower esophageal sphincter:LES)圧の低下,食道内の酸クリアランスの低下が関与する。
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