これからの緑内障診療のために
『緑内障診療ガイドライン(第5版)』緑内障の進行判定と治療(第3回)
廣岡 一行
1
1広島大学大学院医系科学研究科視覚病態学 診療教授
pp.49-51
発行日 2023年8月30日
Published Date 2023/8/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.66_0049-0051
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緑内障が進行しているか否かを判断することは,現在の治療を継続するか,さらなる治療の強化を図るのかを決定するうえで非常に重要である.『緑内障診療ガイドライン(第4版)』1)では,「光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は眼底所見を量的に記録することが可能で,今後,眼底所見による進行判定のために用いられる可能性がある.しかし,現時点で確定した進行判定の方法はなく,あくまで参考所見として理解する必要がある」という表現にとどめていたが,『緑内障診療ガイドライン(第5版)』2)ではもう少し踏み込んで,「OCTによる乳頭周囲網膜神経線維層厚や黄斑部網膜内層厚の測定は眼底所見を量的に記録することが可能で,眼底所見による進行判定のためにも利用可能である」と述べられており,緑内障の進行を判定するうえでもOCTは必要な検査機器になっている.ただし,「OCTによる厚みの計測値はさまざまな撮影条件の影響(計測位置のずれ,画質など)で変化するため,計測値を鵜呑みにはしないように注意が必要である(2B*)」と第4版と同様に限定条件を言及している.さらに,「進行した緑内障眼ではそれ以上の菲薄化を検出することは困難となる(floor effect)ため,OCTによる進行判定は比較的早期の症例に適しており,進行した緑内障眼では視野検査による進行判定が主体となる(1C*)」と,OCTの限界についても述べられている.
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