New Iiformation of Glaucoma
プリザーフロ®マイクロシャント挿入術
相原 一
1
1東京大学大学院医学系研究科感覚・運動機能医学講座眼科学教授
pp.43-48
発行日 2023年8月30日
Published Date 2023/8/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.66_0043-0048
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プリザーフロ®マイクロシャント(PFM)(参天製薬)挿入術は,新しい医用材料によるチューブデバイスを用いた低侵襲濾過手術と位置づけられる.全長8.5mm,外径350μm,内径70μmのSIBS[poly(styrene-block-isobutylene-blockstyrene)]と呼ばれる樹脂製で柔軟性および生体適合性が高い.強膜弁をつくらず直接眼内に挿入するため,強膜と眼内への侵襲がほとんどない.結膜とテノン囊の切開剝離と代謝拮抗薬は使用するが,眼外房水流出点が輪部から6mm離れており,濾過胞の位置も円蓋部よりでびまん性である.EUではすでに10年以上の使用経験があり,日本では2022年に製造販売承認を取得し,2023年夏より一般販売となった.海外の結果では線維柱帯切除術(TLE)には若干劣る眼圧下降効果が報告されているが,理論上濾過手術であり,流出路再建術より優れた眼圧下降効果や日内変動抑制効果が期待される.強膜弁をつくらないため術直後の管理がほとんど不要であること,出血や低眼圧がきわめて少ないこと,濾過胞の位置が輪部から離れていることから術後の視力回復,QOLの維持にはきわめて優位な術式である.
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