Glaucoma Q&A
Q1:術後の眼圧経過は良好だったが視野障害は進行した症例/Q2:術後の眼圧経過は不良だったが視野障害は進行しなかった症例
丸山 勝彦
1
1東京医科大学眼科学分野講師
pp.72-79
発行日 2015年3月20日
Published Date 2015/3/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.49_0072-0079
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Q(1)術後の眼圧経過が良好であったにもかかわらず視野障害が進行したのはなぜでしょうか?50歳 女性,正常眼圧緑内障.気管支喘息の他に既往症なし.緑内障の家族歴なし.コンタクトレンズ作成時に眼底の異常を指摘され初診.無治療時眼圧は両眼とも19~21mmHg,中心角膜厚は520μm.正常開放隅角で,前眼部,中間透光体に異常なし.初診時の眼底写真を図1に示す.プロスタグランジン関連薬の点眼を開始し,炭酸脱水酵素阻害点眼薬を追加して最終的に眼圧は16~18mmHgとなった.この時点でのOCT(optical coherence tomography)黄斑部網膜内層厚解析の結果を図2に,初診時からの視野検査結果を図3に示す.患者には「右眼は中心視野障害が強く,視野障害も進行している」と説明し,同意を得た上で線維柱帯切除術を行った.術後,右眼の眼圧は8~12mmHgとなり,視力は術前と変わらず白内障の発生もなかった.また,眼底の緑内障性所見にも変わりはなかった.しかし,術後も視野障害の悪化は止まらず(図4),患者の不安を助長させてしまった.
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.