目でみるシリーズ 画像でみる緑内障の病態
第8回 前眼部画像検査による濾過胞評価
中村 誠
1
1神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野教授
pp.1-8
発行日 2017年2月28日
Published Date 2017/2/28
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.00.53_0001-0008
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線維柱帯切除術(trabeculectomy)は現在でもなお緑内障手術のゴールドスタンダードである.その眼圧下降効果は主に房水の結膜下腔への濾過によるが,細隙灯顕微鏡所見だけでは必ずしもその機能性を予測することができない.すなわち,平坦化して濾過効果がないように思われる濾過胞であっても,眼圧が十分下降している場合もあれば,逆に一見すると丈も高く幅も広い細隙灯所見を示しながら,高い眼圧となっている場合もある.後者は被包化濾過胞(encapsulated bleb)と呼ばれるが,その内部構造がどのようになっているのかは窺い知ることができない.代謝拮抗薬を併用した線維柱帯切除術では,しばしば血管成分に乏しい虚血性濾過胞を生じる.虚血性濾過胞は房水が結膜表面から漏出しやすく,ひいては忌まわしい濾過胞感染の温床となる.しかし,この虚血性濾過胞も細隙灯顕微鏡的には薄い結膜組織しかないようにみえて,濾過胞再建術を行うと,実際には濾過胞内は海綿状構造物で占められていることがわかる.
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