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脳におけるエストロゲンの見えざる作用 第34回 ―エストロゲンとアルツハイマー病―
武谷 雄二
1
1東京大学名誉教授/医療法人社団レニア会アルテミスウイメンズホスピタル理事長
pp.75-78
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.29.03_0075-0078
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精神疾患の発症には性差がある。たとえば統合失調症,自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群,注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)などは男性に好発し,女性はうつ病,不安障害,摂食障害などに罹りやすい。精神疾患の発症には遺伝,性格,環境,社会的要因など多因子が絡んでいるが,性ステロイドホルモンの役割も注目されている。特に統合失調症の臨床像には明らかに性差があり,一般に女性のほうが症状は軽度である。その理由として,エストロゲンは直接神経組織に作用して,統合失調症の発症に予防的に働くことが多くの研究によって次第に明らかになっている。
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