連載 Estrogen Series・7
エストロゲン補充療法(ERT)とアルツハイマー病
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.1082-1083
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902637
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アルツハイマー病は通常65歳前後から目立つようになり.その頻度は4〜5年ごとに2倍となる.85歳では,その25〜50%にこの疾患がみられる.その男女比は男性1に対して女性1.5〜3となる.その理由の一つは高齢者に女性が多いことであるが,この点を統計的に修正しても,やはり女性のほうが高頻度である1).
現在のところアルツハイマー病の予防法はなく,一度罹ってしまえば,よい治療法もない.米国FDAで認めている唯一の治療薬はtacrineという名のコリンエステラーゼ抑制剤である.この薬剤は神経伝達に必要なアセチールコリンを脳内に蓄積するはたらきをする.しかしアルツハイマー病に男女差があるということは,そこにエストロゲンの関与する可能性を示唆するものである.
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