連載
脳におけるエストロゲンの見えざる作用 第14回
武谷 雄二
1
1東京大学名誉教授/医療法人社団レニア会アルテミスウイメンズホスピタル理事長
pp.70-74
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.24.02_0070-0074
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
恐怖の体験が反復されると動物はそれに適応し,恐怖に引き続いて起こる最悪の事態を予知し,回避することを学習する。しかし時に危険が迫っていなくても恐怖に怯える情動や行動が持続することがある。恐怖に対する適切な反応が起こらないと恐怖に過剰に反応してしまい,その結果さまざまな精神症状を呈し,日常の生活に支障をきたすようになる。前号ではエストロゲンが恐怖の記憶の消去を早めることで,恐怖記憶が遷延することを防いでいることを述べてきた。今回,恐怖記憶の処理におけるエストロゲンの作用の失調と精神疾患との関連について考えてみたい。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.