連載
脳におけるエストロゲンの見えざる作用 第21回
武谷 雄二
1
1東京大学名誉教授/医療法人社団レニア会アルテミスウイメンズホスピタル理事長
pp.74-79
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.26.02_0074-0079
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あらゆる動物にとって欠かせない機能は栄養を摂る,子孫を残す,身の危険を察知することである。身の危険とはヒトでは視聴覚刺激もあるが,多くの動物にとって身体が傷害されたときに生ずる痛覚刺激が最も重要なものである。これは神経系とその機能を調節するオピオイド系が関与している。このためオピオイド系は動物の生命維持にとって最も基本的な役割を担ってきた調節系といえる。前号では痛みの知覚とその反応について,特に性差という視点から眺めてきた。本稿では,オピオイド系がどのようにして痛みの性差に関わっているのか,あるいはオピオイド系ははたして痛みを抑えるためだけに存在しているのかといった素朴な疑問への答えを見出そうと試みた。
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