連載
グラビア・目で見る卵胞,卵子,胚と生殖医学 ―卵巣移植における光干渉断層計の応用―
高江 正道
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学 講師
pp.4-7
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.26.01_0004-0007
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,癌治療の発達に伴い,癌生存者(キャンサーサバイバー)のQOLやサバイバーシップに関心が高まっている。なかでも,癌治療後の妊娠・出産は,それらを構成する重要な要素といえる。そのため,わが国においても若年女性癌患者が,治療前に生殖医療施設を受診し,卵子(未受精卵子)凍結や胚(受精卵)凍結などの“妊孕性温存治療”を受ける流れが確立されつつある。妊孕性温存治療のなかでも,卵巣組織凍結はすでに130例以上の生産例が報告されているものの,いまだ“試験的な治療法”の位置づけであり(米国ならびに日本),その安全性と有効性に関しては今後もさらなる検証が必要と考えられている1)2)。われわれは,2006年から卵巣組織凍結に関する基礎研究を開始し,2010年より臨床試験として若年癌患者に対する卵巣組織凍結を実施している。最近では,特に卵巣組織移植症例が増加することを踏まえ,その有効性を向上させるための研究を行っている。本稿では,近年発達の著しいイメージング技術である光干渉断層計(optical coherence tomography;OCT)を用いた取り組みについて紹介する。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.