連載
グラビア・目で見る卵胞,卵子,胚と生殖医学 ―卵胞の動的観察―
邨瀬 智彦
1
1名古屋大学医学部附属病院産科婦人科助教
pp.4-6
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.26.02_0004-0006
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がん生殖医療において卵巣組織凍結・自家移植法は有用な妊孕性温存療法となってきている。しかし,同法は微小残存病変の再移入リスクがある。そこで,卵巣組織または単離卵胞の体外培養により成熟卵子を得られれば,体外受精・胚移植を行って微小残存病変の再移入リスクはなく妊娠が期待できる。実際にヒトの後期二次卵胞を単離培養して成熟卵子を得た報告1)があるため,原始卵胞,一次卵胞,前期二次卵胞を後期二次卵胞に人為的に発育誘導できれば成熟卵子を得られる可能性が高まる。しかし,原始卵胞~一次卵胞はゴナドトロピン非依存的な発育制御を受けており,その制御機構は不明な点が多く残されている。そこでわれわれは,マウス卵巣組織培養システムを確立し,卵巣組織における卵胞発育制御機構を解明することによって,人為的に卵胞発育を促進し,卵子を得るための方法の開発に取り組んでいる。今回はわれわれが開発した卵巣組織培養下における卵胞の動的観察について紹介する。
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