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脳におけるエストロゲンの見えざる作用 第18回
武谷 雄二
1
1東京大学名誉教授/医療法人社団レニア会アルテミスウイメンズホスピタル理事長
pp.66-70
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.25.03_0066-0070
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古今東西を問わず母親は子どもが危険な状況になると我が身を挺して子どもを守ろうとするといわれてきた。ヒトのみならず動物でも母親に共通な属性であり,このことから子どものためにすべてを犠牲にするというのは母親の本能という考え方が根付いている。このような母親の行動特性は母体本能ともいわれているが,はたして本能といえるのだろうか。また母性は本能であるなしに関わらず,ほとんどの女性がわが子に接すると限りない愛情が湧き出てくる。子どもへの愛情が芽生えるしくみの破綻が育児放棄・児童虐待につながると思われる。本稿では母性の背景にある生物学的なしくみを考えてみたい。
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