連載
グラビア・目で見る染色体異常症の診断と生殖内分泌関連疾患 ―常染色体異常症―
福島 明宗
1
1岩手医科大学医学部臨床遺伝子学科教授
pp.4-8
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.25.02_0004-0008
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
染色体異常には数的異常(異数性)と構造異常がある。異常は1つとは限らず,複数の常染色体,性染色体,あるいはその両方が関与することもある。68,000人以上の新生児において染色体異常の発生頻度を調べたところ,その頻度は154出生児に1人程度1)と比較的多い。一般社会において最も知られているのは,染色体の数的異常であり,これを異数性(aneuploidy)という。その頻度は263出生児に1人である1)。異数性染色体異常では身体的異常,精神発達異常あるいはその両方を常に有する。染色体の切断と再接合によって生じるものを構造異常(structural aneuploidy)というが,その頻度は375出生児に1人である1)。ゲノム量の不均衡がない場合を均衡型,ある場合を不均衡型という。生殖内分泌関連としては不均衡型の関与が一般的であるが,均衡型染色体構造異常があっても次世代に異常のある子が生まれるリスクが高くなる可能性がある。配偶子・受精卵の染色体異常に関しては,母体年齢の上昇と卵子の染色体異常増加の関連が知られている。一方,父親年齢の上昇については,遺伝子レベルでの変異の増加が知られている。染色体異常のある多くが出生までの過程において淘汰されるといわれている。流産の50~70%に染色体異常を伴い,その60%に常染色体トリソミー(trisomy)がみられる。そのなかで最も多いのが16番染色体のトリソミーである。流産の原因としてトリソミーが繰り返す場合は,両親の加齢による影響のほかに両親いずれかの性腺モザイクが推定される。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.