連載
グラビア・目で見る染色体異常症の診断と生殖内分泌関連疾患 ―染色体異常の診断法―
井本 逸勢
1
1徳島大学大学院医歯薬学研究部人類遺伝学分野教授
pp.4-7
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.25.01_0004-0007
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染色体異常症とは,染色体の数や構造の変化(異常)によりさまざまな症状を呈する疾患を指す。数的異常には,1本以上増えるあるいは1本欠ける異数性や倍数性があり,構造異常には,染色体の部分的過不足や遺伝子の切断などが生じる欠失,重複,逆位,付加,転座などが挙げられる。これらの異常により過不足の生じた領域に座位する遺伝子群のコピー数変化(量的効果)が生じた結果,種々の表現型異常が生じる。染色体異常症の診断に直結する検査法にはさまざまな方法があり,大きく細胞遺伝学的方法(細胞培養が必要で顕微鏡による染色体の観察を伴う視覚的診断法)と分子生物学的方法(細胞培養や顕微鏡が不要でDNAを直接解析対象とする非視覚的診断法)に分けられる。各診断法の解像度や網羅性はさまざまであり,各検査の適応や限界を考慮して目的に合わせて使い分けあるいは組み合わせることで,複雑な構造異常も診断可能になる。一方で,患者情報を欠く検査では結果の解釈が困難な場合があり,診断に至るには臨床診断との整合性を考慮した検討と解釈が必要である。代表的な分析法について述べる。
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