連載 ゲノム医療の現状
遺伝性筋疾患の遺伝学的診断
吉岡 和香子
1
,
西野 一三
2
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部 科研費研究員
2国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部 部長
pp.38-42
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.42.03_0038-0042
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遺伝性筋疾患は、臨床的および遺伝学的に多様な病型を示し、診断や病因の解明は依然として困難な課題である。近年では、筋生検を行わずに臨床所見や画像診断、家族歴から原因遺伝子を推定し、直接遺伝子検査へ進む症例が増加している。また、次世代シークエンサー(next-generation sequencer:NGS)の普及により、診断精度も飛躍的に向上している。国立精神・神経医療研究センターでは、筋病理診断に加えて、独自に開発した遺伝子パネルによる遺伝学的解析や、全ゲノム解析・mRNA解析を導入し、より多くの症例で確定診断を実現してきた。今後は、治療法の進展に伴い、診断率の向上、早期診断、遺伝カウンセリングの充実がさらに求められる。本稿では、遺伝性筋疾患の遺伝学的解析の現状と今後の展望について概説する。

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