特集 各がん種のoncology領域や薬物療法の進歩、この5年間で何がどう変わった?
膵がん薬物療法
水野 伸匡
1
,
原 和生
2
1愛知県がんセンター消化器内科部 医長、内視鏡部医長
2愛知県がんセンター消化器内科部 部長
キーワード:
術前化学療法
,
切除可能境界膵がん
,
維持療法
Keyword:
術前化学療法
,
切除可能境界膵がん
,
維持療法
pp.26-30
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.42.03_0026-0030
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膵がん薬物療法はこの5年間で大きく変化した。切除可能膵がんではこれまでのテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S-1)による術後補助化学療法に加え、術前ゲムシタビン/S-1併用療法が標準治療となった。切除可能境界膵がんでは、術前治療として化学放射線療法あるいは化学療法が提案されている。局所進行切除不能膵がんに対しては、国内で実施されたJCOG1407の結果よりGEM+nab-PTX、FOLFIRINOXが治療選択となる。遠隔転移膵がんにおいては、JCOG1611ではmFOLFIRINOX、S-IROXはGEM+nab-PTXを上回ることはできなかった。一方、生殖細胞系列BRCA1/2の病的バリアントの保有者では、プラチナレジメンで病状進行が抑えられた場合にはオラパリブによる維持療法が新たな治療選択となった。二次治療ではゲムシタビンベースの一次治療にて増悪を認めた進行膵がん症例に対してはフルオロウラシル/ホリナートカルシウム、ナノリポーソマルイリノテカン、ナノリポーソマルイリノテカン/フルオロウラシル/ホリナートカルシウム併用療法が承認された。また特定の遺伝子異常に対する治療選択はこの5年間で広がった。

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