連載 ゲノム医療の現状
造血器腫瘍における遺伝子パネル検査の特殊性
遠西 大輔
1
1岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター 准教授
pp.46-48
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.41.04_0046-0048
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次世代シークエンサーなどテクノロジーの進歩により、がんの発生・進展に特に強くかかわるドライバー遺伝子を特定し、その遺伝子を標的とした最適な治療を提示する、がんプレシジョン・メディシン(遺伝子に基づく個別化治療)が実臨床に導入されている。固形腫瘍の分野では、2019年6月には、2つの遺伝子検査パネルが保険承認され、がんの個別化医療が急速に進んでいる。しかし、造血器腫瘍では、遺伝子変異プロファイルが固形腫瘍とは大きく異なるという生物学的特徴から、現在使用されるがん遺伝子パネルでは十分な遺伝子プロファイルが得られないため、がん遺伝子パネル検査の対象疾患となっていない。そのため、がんゲノム医療の実装は遅れており、現在、遺伝子パネル検査の導入に向け急ピッチで準備が進んでいる。一方で、診断、予後予測に重点が置かれる、造血器腫瘍のパネル検査では、がんゲノム医療連携体制や検査適用、エキスパートパネルのあり方など、造血器腫瘍特有の課題も多く、本稿ではそれらについて概説する。
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