連載 Medical Scope
SGLT2の発見の経緯とその後の展開
金井 好克
1
1大阪大学大学院医学系研究科生体システム薬理学 教授
pp.79-83
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.39.05_0079-0083
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SGLT2阻害薬は,腎臓でのグルコース再吸収を阻害し,血糖値を低下させ,糖毒性を軽減するというコンセプトで開発された2型糖尿病治療薬である。その標的となるSGLT2は,腎尿細管に特異的に発現し,糸球体で濾過されたグルコースの90%の取り込みを担う。SGLT2の分子同定は,長年の生理学の成果を「分子の言葉で書き換える」20世紀末から21世紀初頭にかけての一連の作業の産物であるが,それを標的とした創薬を促し,新たな糖尿病治療薬の創製へと導いた。最近,SGLT2阻害薬の心保護作用,腎保護作用が実証され,糖尿病治療薬を超えた展開をみせつつある。今後,その多様な生体作用が,臓器連関に基づく生体恒常性研究に新たな視点をもたらすものと期待される。
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