特別企画 膵・消化管神経内分泌腫瘍を巡る最近の話題~NEN診断と治療の新時代~
膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)の薬物療法の最前線
池田 公史
1
1国立がん研究センター東病院肝胆膵内科科長
pp.73-78
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.39.05_0073-0078
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膵・消化管神経内分泌腫瘍(neuroendocrine neoplasm:NEN)に対する治療は神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)と神経内分泌がん(neuroendocrine carcinoma:NEC)で異なり,NETは膵原発と消化管原発で治療方針が異なる(表1)。NETに対しては切除可能であれば切除を,消化管NETに対しては内視鏡治療も考慮される。肝転移に対してはラジオ波焼灼術や肝動脈化学塞栓術なども選択される。ホルモン症状を有する機能性NETに対しては,症状のコントロールする目的でソマトスタチンアナログ製剤が用いられる。腫瘍制御を目的とする場合,ソマトスタチンアナログ製剤,分子標的治療薬,細胞障害性抗がん剤が用いられる(表2)。放射線療法として,骨転移,脳転移に対する緩和目的にて行われることがある。また,放射性核種標識ペプチド治療(peptide receptor radionuclide therapy:PRRT)が欧米ではしばしば使用されており,日本でも近日,承認される見込みである。NECに対しては,切除可能であれば切除が行われ,切除不能例に対してはプラチナベースの化学療法が用いられる。本稿では,NENの薬物療法の全般に関しては,2019年に発刊された「膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン」1)をご参照いただきたく,本稿では薬物療法の最前線の内容を中心に概説する。
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