特集 ロボット手術の新たな展開
特集にあたって
橋爪 誠
1
1九州大学名誉教授/北九州古賀病院院長
pp.7-8
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.39.04_0007-0008
- 有料閲覧
- 文献概要
人工知能第3のブームと多分野におけるロボット手術の保険診療開始を契機として,ロボット手術は今新たな時代を迎えている。本特集では,ロボット手術の現状と未来を概説していただいた。わが国は,2000年3月と非常に早い時期に“ダビンチ”手術を導入した。翌年には治験を開始したが,医療機器として薬事承認されるまでに10年を要した。わが国は,産業用ロボットでは世界トップの技術力とシェアを誇るが,医療用ロボット開発では多くが研究開発で終わっている。原因として,わが国の構造的課題が指摘されている。企業もリスクを回避する傾向にあり,巨額を集金できるベンチャーが育ちにくい。最近旧薬事法がようやく薬機法に名称変更されたのは,医療機器の製品化が医薬品と異なる状況にあることが認識された結果である。今,アナログからデジタルの時代へと移り変わり,情報に基づいた情報誘導型手術(information-guided surgery),さらには診断と治療を融合した画像誘導型手術(image-guided surgery)や,精密外科手術(precision surgery)が現実のものとなってきた。政府も産官学連携の強化や,経済産業省,文部科学省,厚生労働省の3省合同会議などを経て,AMED(日本医療研究開発機構)を設立し,日本発医療機器の製品化を推進している。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.