特集 高齢者動脈硬化予防の新展開
高齢者における肥満と動脈硬化性疾患
田村 嘉章
1
1東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科 専門部長
キーワード:
高齢者の肥満
,
メタボリックシンドローム
,
サルコペニア肥満
,
低栄養
,
体重減少
Keyword:
高齢者の肥満
,
メタボリックシンドローム
,
サルコペニア肥満
,
低栄養
,
体重減少
pp.13-16
発行日 2020年10月20日
Published Date 2020/10/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.38.10_0013-0016
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肥満はわが国ではbody mass index(BMI)≧25kg/㎡で定義される。加齢に伴い肥満を呈する者の割合は増加するが,平成29年国民健康・栄養調査では,BMI≧25kg/㎡の者は,男性では40~60歳代にピークがあったのに対し,女性では70歳代まで増加しており,80歳以上ではいずれも低下していた(図1)1)。メタボリックシンドローム(metabolic syndrome:Mets)は,内臓脂肪蓄積,中心性肥満に加え,高血圧,耐糖能異常,脂質代謝異常などの代謝異常を合併した症候群であり,単純性肥満よりも血管病変が進行しやすい。Metsの診断基準にはさまざまなものがあり,注意が必要である。わが国および国際糖尿病連合(IDF)の基準では腹囲が必須条件であるが,米国心臓協会/米国国立心肺血液研究所(AHA/NHLBI)の基準では必須項目とはなっていない(表)。わが国で年齢別に腹囲がMetsの基準(男性≧85cm,女性≧90cm)を超えている者の割合は,男女とも高齢になるほど高くなっていた1)。一方,高齢者では筋肉量の低下により,肥満がなくても腹囲のみ高値である者(いわゆる隠れ肥満)の割合が増加しており注意が必要である。高齢者では腹囲の増加とともにMetsの割合も増加する。Metsが強く疑われる者(わが国基準の耐糖能異常をHbA1c≧6.0%とし,中性脂肪値を診断から外した者)の割合は,男女とも70歳以上で最大であり,75歳以上でもほぼ同様であった(図2)1)。「KEY WORDS」高齢者の肥満,メタボリックシンドローム,サルコペニア肥満,低栄養,体重減少
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