特集 白血病診療の新展開
特集にあたって
金倉 譲
1
1大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科 教授
pp.7-8
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.37.10_0007-0008
- 有料閲覧
- 文献概要
白血病は,造血幹細胞レベルの未分化な細胞に,染色体・遺伝子異常が生じることにより発症する造血器悪性腫瘍である。白血病は,小児から高齢者まで幅広く発症する疾患であるが,高齢者では発生率がより高くなり,70歳後半からは人口10万人あたり25を超える。また,小児から青年層においては,白血病は,最も発生頻度の高いがんであり,実数はそれほど多くはないが,著名人,たとえば競泳女子の池江璃花子選手や女優の夏目雅子さんらが罹患し,社会的にも注目されている疾患である。白血病の成因に関しては,1960年,慢性骨髄性白血病(CML)細胞にフィラデルフィア(Ph)染色体が発見されたことに始まる。その後,白血病においてさまざまな染色体異常が見い出され,それに伴う融合遺伝子形成や遺伝子発現異常が明らかにされ,急性骨髄性白血病(AML)の病型分類や層別化治療に用いられてきた。さらに,最近,膨大なDNA/RNA配列情報を得ることができる次世代シーケンサーを用いた解析が進み,さまざまな遺伝子変異により,AMLに加えて,急性リンパ性白血病(ALL)の病型もより細分化することが可能となってきている。さらに,白血病の原因遺伝子のmRNAをモニターすることで微小残存腫瘍量を確認し治療を行えるようになったことも大きな進歩である。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.