連載 一目でわかるクリニカルレシピ
NAFLD/NASHの食事
仁科 惣治
1
1川崎医科大学肝胆膵内科学講師
pp.76-79
発行日 2019年9月20日
Published Date 2019/9/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.37.09_0076-0079
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NAFLDは肥満、耐糖能異常、脂質異常症、高血圧など生活習慣病の合併率が高く、それらの増悪の要因となっています。男性ではBMI (body mass index) が25㎏/㎡以上であれば高い割合で脂肪肝が認められるといわれており、女性では閉経期である45歳前後より徐々に増加します。NAFLはNAFLDの約8割と大部分を占めており、肝硬変への進行や肝がんの発症は少ないとされています。その一方で、NASHはNAFLDの約2割程度と少数ですが、放置すると無症状ながら長い年月を経て肝硬変への進行や肝がんを発症する危険性が高いため、初期の段階から積極的に治療を行う必要があります。治療の原則は食事療法、運動療法などの生活習慣の改善により、背景にある肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を是正することです。肥満がある場合は減量が有効であることが証明されており、まずは体重の7%を目標に減量を目指し、徐々に標準体重に近づけます。過剰摂取がNAFLD発症(進展)の危険因子と想定されているのは、総エネルギー、糖質(炭水化物)、ソフトドリンク(糖質、果糖)、肉類、脂質(特に飽和脂肪酸、ω-6脂肪酸、コレステロール)で、摂取不足が発症の危険因子と想定されているのは、魚類、ω-3脂肪酸、食物繊維です。また生活リズムの乱れも肥満の原因となります。朝食欠食者は摂取者の約5倍肥満しやすいことや、昼夜交代勤務の人は肥満になりやすいことが明らかになっており、食べる内容だけでなく、時間も考慮する必要があります。
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