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数ある慢性心不全治療薬のなかでこれまでに大規模臨床試験で予後改善効果が確立しているのはアンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor blocker;ARB),ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(mineralcorticoid receptor antagonist;MRA),β遮断薬のみである。これらの薬剤は1980年代の終わりから2000年代初めにかけての大規模臨床試験で全死亡を約30%減少させることが立証されており,日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)』1)では,左室駆出率の低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction;HFrEF)に対し必須の薬剤とされている。近年,新しい機序の心不全治療薬として登場したイバブラジン(欧州では2012年,米国では2015年)とアンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬のエビデンスが確立し,欧米ではHFrEF患者で治療のオプションとして使用されている。また糖尿病治療薬であるSGLT2(sodium glucose cotransporter 2)阻害薬が,糖尿病合併心不全に有効であることが報告され,これを受けてわが国のガイドラインでも2型糖尿病患者における心不全予防の有効性が記載された。本稿ではこれら新規慢性心不全治療薬であるイバブラジン,アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬の現状と期待,さらには糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬の心不全に対する効果と今後の課題について概説したい。「KEY WORDS」慢性心不全,イバブラジン, アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害薬,SGLT2阻害薬
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